日本人の感性に響きやすいメロディというのは、音楽を語る中でよく話題になる。グルーブとベース音に頼るというよりは、むしろ鼻歌のように口ずさめるギターリフと、文学性が強く印象的な歌詞世界。その頂上に君臨しているのはASIAN KUNG-FU GENERATION、あるいはクリープハイプなどのようなフェスの大舞台に立つギターロックバンドたちであり、そこに向かって多くのフォロワーバンドが追随している。そして、(本人たちの意志はさておき)ポルカドットスティングレイもまさに「日本人にハマるバンド」の一つであり、2016年にさらなる飛躍が期待される。
ポルカドットスティングレイは2014年に福岡で結成された女性ボーカルのギターロックバンドだ。ギタリストが頻繁に入れ替わりながらも、2015年8月に現4人体制に落ち着いた。“黄昏サイキック”や“夜明けのオレンジ”を初めて聴いたときは、椎名林檎からの影響を感じさせるメロディセンスの良いバンドが出てきたなという印象を受けたし、ドラムのキレや、メロディおよびサビのキャッチーさも悪くなかった。ただ、音の厚みや歌詞世界の確立という点では、まだ「悪くない」の域を出ることはなく、ヒット曲として世に広まる要素は少ないという印象を受けたのも事実だった。
そんな中、ギタリストが固定して、現体制となったポルカドットスティングレイから新曲が届いた。素直に感じたことだが、“テレキャスター・ストライプ”は本当に素晴らしい曲だ。イントロのギターが鳴っただけで、ライブハウスのオーディエンスが縦横無尽に踊りだす姿が脳裏に浮かぶ。盛り上がること間違いなしのギターソロが加わったことを見ても、新ギタリスト=エジマハルシの加入が功を奏していると感じ取ることができる。リリック面でも下手に英語詞に逃げすぎることなく、「歌える」曲になっているのが好印象。また、女性ボーカルバンドの宿命とも言える「ボーカリストのフロントマンぶり」もMVを見る限り申し分なく、Vo雫の歌声も疾走感が増して心地良く聴ける。結成して間もなく、メンバー交代も激しかったポルカドットスティングレイが、ライブ経験などを通してようやくお互いの個性を作品にまとめ上げることができた。“テレキャスター・ストライプ”を聴いて、そんなバンドの勢いと結束を感じ取ることができた。
「勝負曲」が生まれたポルカにとって、次なる戦いはアルバム作りである。そして全国ツアー。年内に完成するかは分からないが、現時点での楽曲の充実ぶりを見ても、アルバムには十分期待できると言えるだろう。それらを携えて、フェスなどのライブ会場でいかなるパフォーマンスを見せていくか、そしてどこまで幅のある作品を残していけるか。新世代の代表として、ポルカドットスティングレイは日本のギターロックの未来を担っている。
Witten by 信太 卓実
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